会長挨拶
山口 利幸(高17回)
去る6月25日(土)に開かれた金鵄会総会において、加藤久雄前会長のご勇退にともない会長に選任されました高校17回生(昭和40年3月卒)の山口利幸です。
加藤前会長におかれましては長野市長という要職にあるなか2016(平成28)年から6年にわたり、本会を先導していただきました。特に2019(令和元)年の「創立120周年記念事業」には募金活動を始め実現に心血を注いでいただきました。直前に台風19号による千曲川の堤防決壊・洪水発生の緊急事態により、記念式典等は断念せざるを得ませんでしたが、全教室・研究室に空調設備を設置する、屋上に太陽光パネルを設置し売電収益をもとに給付型大学進学奨学金を創設するなど教育環境は格段に向上しました。加藤前会長のこれまでのご労苦に心より敬意と感謝を表したいと思います。ありがとうございました。
さて、会長就任にあたり同窓会の使命や当面の課題について一言申し述べます。
一点目は会員相互の交流・親睦を強めることです。ご承知の通りコロナ禍のなか直接集うことが困難になりました。しかしその中で、例えば東京長高金鵄会のようにZoomを使っての総会や同期会などが開かれ交流が行われました。コロナ禍は一気に終息させることは難しいでしょうが、社会経済活動を止めないという方向に沿ってデジタル機器を活用した情報交換や交流にも関心を持っていきたいと思います。また、世代間の交流を進めるため、役員体制の若返りや女性の登用を図ってまいります。総会で提案しました女性副会長の選任もその一つです。1950(昭和25)年に初めて女生徒が入学して以来年々増え続けてきまして、21世紀に入ってからは女生徒の比率は40%台が常態となり、現在はほぼ半々の50%となっています。この件については来年度の総会で審議していただく予定です。
また、会報「日新鐘」の郵送代、会費の納入手数料、会計管理等の費用が年々上がってきました。今後の会員数は少子化の中、募集学級数が減少していますので増加することはありません。このようなことから金鵄会の活動を保障する財務基盤の強化が必須ですので、会費の納入について改善・工夫をしていきたいと考えています。
二点目は在校生への支援についてです。従来から在校生(準会員)にはPTAと協働して学習支援、進路指導支援、クラブ振興等を「日新館」活動や教育設備改善事業等で行ってきました。その際講師などの人材として各界で活躍されている同窓生の皆さんに支援していただいてきました。これからも継承してまいりますが、殊に若い同窓生(大学生、院生、准教授世代)の参画・関与を進めていきたいと思います。このところ高等学校の学習は「習得」から「探究」に大きくシフトしてきました。母校は国のSGH(スーパー・グローバル・ハイスクール)構想の指定校になり5年間全学年を挙げて「探究的学習」「課題研究」を実践し成果を上げてきました。その後は3年間NGP(地域との協働による「高等学校教育改革推進事業」:ナガノ・グローカル・プロジェクト)に引き継がれて今に至っています。思い返せば高等時代は生涯の中でも最も感受性に富む時です。友、先輩や師と共に自己形成の根を育むときです。教育の重要な形に「師を持つこと」がありますが、その一環として若い世代の同窓生に期待しています。
三つめは地域社会への貢献です。本校同窓会は平成25年の法人化に伴い「一般社団法人長野高等学校金鵄会」となり、社会貢献などへの期待が大きくなりました。学校教育は普段はあまり意識しませんが、地域に陰に陽に支えられています。当然のことながら学校は地域に「開かれた学校」を目指すことが大事ですし、金鵄会も学校と二人三脚で歩むことが求められています。このような観点から歴史的建造物である旧校舎の管理棟を金鵄会館とし様々な公的活動の拠点としています。質の高い公開講座として知られる教育文化振興会の市民講座がコロナ禍にめげず毎年開催されています。長野県高等学校体育連盟事務局や池田満寿夫ギャラリーなどがあります。引き続き充実を図っていきたいと思います。なお、在校生には旧教室を学習室として開放しブース型デスクでの個人学習が夜7時までできる環境を提供しております。
以上同窓会の使命や課題について三点にわたり申し上げました。歴代の同窓会長は市長など地域の政財界のリーダーの方が就任されてきました。もとより浅学菲才、加えて教員出身である私にはとても重い任ではありますが、会員の皆様方のご理解とご協力をいただきながら学年幹事、理事や役員の皆様と共に会務に努めてまいりたいと思いますので、何卒よろしくお願い申し上げます。